――クリスマス・イブ――
それは、小さな子供たちがサンタという
心優しいおじいさんに自分のほしい物を願う日
・・・そして、ここマザーフットにも、外見は大人、精神は子供の大人がほしい物を願うのであった
天かける 赤き戦士
12月も後半に入り、寒さも増した今日この頃
カウル一家とマナとアヤが、カウル家の一番広い部屋に集まっていた。
「・・・・・・」
「あっ!マナ、この短冊どこにつけたらいいと思う?」
「・・・はぁ、クリスマスツリーには短冊はつけないし、短冊は七夕に飾るものでしょうが」
「えっ!そうなの!?」
パーティー用の豪華な料理を持ってきていたマナの目に映ったのは、
クリスマスパーティーの第二のメインとも言えるツリーに、願い事を書いた短冊を飾っているカウルと、
その横で、だまだまとテーブルにお皿を並べるロサであった。
「もぅ、ロサも居たんなら付ける前になんか言ってやってよ」
「・・・ツリーって短冊付けないんだぁ」
「(こっちもかぁぁぁ;;)」
そのころ台所で料理を作っている人たちは・・・
「なんか、あっち騒がしくない?」
「いつものことだから、また母さんが何かやらかしたんじゃないの」
「確かに;)カウルさんも、毎年色々やってくれるよね」
「よくネタが尽きないというか何と言うか・・」
はぁ、と重い溜息を吐きながら隣のパーティー会場に料理を持っていったエク
それを哀れに思いながら、そっと見守るアヤであった。
「今年は、何が飾られてるのかな?」
と、アヤが独り言を言っていると、玄関が開いた。
「あっ、おかえりなさい、ナリ姉さん、キム」
「ただいまアヤちゃん、お母さんたちは?」
周りをきょろきょろと見るナリィ
「カウルさんたちなら、会場に居ますよ」
「分かった、ありがとう」
一回礼を言って会場に入っていくナリィと、
その後を口をもごもごさせながら着いてゆくキム
「キムちょっと待ちなさい」
「ひょひたの」
「あんた、つまみ食いしたでしょう」
「ごっくん)してないよ」
「今何か飲み込んだでしょうが!!」
アヤの視線を避けるように横を向き、遠いどっかを見ているキム
「・・・・・・;」
「・・・もういいや 会場のほう手伝ってきて」
「分かった」
つまみ食いを何とか、ばれず(?)にすんだキムは、
心の中でそっと安心するのであった。
会場組みは、やっとのことでカウルが付けた短冊を取って
ちゃんとした飾りをつけていた。
「やっぱり皆で飾りずけすると楽しいねw」
「毎年やってたことだといっても、今年のはちょっと、ねぇ・・・ナリ姉」
「うん、見たとき呪のお札が張ってあるのかと思ったよ」
パーティーを始める前から付かれきってしまった二人に
同情の目を向けるマナと、何で疲れているか分からなくて首をかしげるカウルとロサ
「そういえばナリィ、おじいちゃんとおばあちゃん呼んできてくれた?」
「うん、すぐ行くって言ってたよ」
「そっか、よかったぁ」
みんなで飾り付けをしたおかげで、予想より早く終わったので、
会場で雑談をしていると戸を叩く音が鳴った。
「来た来たv」
「今行きまーすw」
とてとて と玄関に迎えにいくカウル
――やっと、楽しいクリスマス(・イブ)パーティーが始まるのであった。
「一日早いですが、皆様お手元のコップを持って・・・、メリークリスマス!」
「「「「「メリークリスマス!!」」」」」
かちゃん、とコップが掛け声と一緒にぶつかった。
「ほんと、みんな今年も誘ってくれてありがとうね」
「いぃんだよ、おばあちゃん」
「私たち家族じゃないv」
言い忘れていましたが、マザーフットの住民は両手で数えれるほどしか居ません。
カウル、ロサ、ナリィ、エク、キム、マナ、アヤ、そしておじいちゃん、おばあちゃんの計9人
なので、みんな家族みたいに仲がよいのです。
「あのさぁ カウル」
「?どうしたのマナ?」
マナがカウルに話しかけると、みんなが喋るのをやめ、会場が静まる。
「前々から気になってたんだけどさ」
「うんうん」
みんなに緊張した空気が張り詰める。
「なんで、クリスマスパーティーなのにイブにやるの?」
「「「「「・・・・・へっ?」」」」」
緊張の糸が解けたカウル一家は、みんな変な声を出してしまった。
「たっ確かに・・」
「そういえば、ねぇ、おじいさん」
「確かにのぉ」
毎年呼ばれたので行っていた人は、マナの質問に納得した。
「っと、言うわけでなんでなのカウル」
「あのぉ〜〜、その〜〜〜;」
マナから目をそらしてしまうカウル
全然理由を言う気がないカウルにあきれたエクが、マナの横に行く。
「マナ姉、母さんの代わりに私が言うよ」
「エクの裏切りものぉ〜〜〜〜〜〜!」
「裏切り者って、何の約束もしてないんだから、裏切るも何もないじゃん」
「ヴゥ〜〜〜〜;;」
暴れようとしたカウルをナリィとアヤが人形を使って素早く拘束する。
「で、どうしてなの?」
「それはねぇ、母さんはクリスマスになると・・・」
「クリスマスになると・・?」
一瞬カウルが、狼になるのかとマナは思ったが、いくらなんでもそれは無いか
と考え直す
「全身筋肉痛で1日寝込んでるの」
「「・・・はいっ?」」
「あらあら、若いわねぇ」
「ほんとじゃのう、だか若いといってあんまり無理をするのではないぞ」
あまりにもおかしすぎる理由に、一瞬どんな反応をしたらいいのか困ってしまったマナとアヤに対して、
そんな理由か〜、と納得しているおじいちゃんとおばあちゃん
「まぁ・・;カウルさんだから;;」
「だね・・・;」
なんとなく納得できないところもあったけど、カウルだからと言う事で納得した2人
「あたしだから納得したって、そんなのあたしが納得できないんだけど!」
カウルの虚しい叫びが、会場に響いたのであった。
パーティーも終盤に入り、ほとんどの人ができあがってしまい
その場で解散することになった。
「またね〜w」
「気おつけて帰ってよ」
ふらふらとしながら帰ってゆくマナとアヤを
唯一お酒を飲まなかった(飲めなかった)カウルが見送る。
(※この世界では、一つ一つの国が法律を作るので、お酒が二十歳ではないと飲めない国と、二十歳でなくとも飲める国があります。
この場合、カウルたちの住むマザーフットにはそういう法律がありませんので、二十歳でなくとも飲めますが、
体に悪いので、アルコールの度数が低く・お祝い事や年中行事のときだけ飲めます。)
「それじゃあ、また明日ねカウルちゃん」
「またねv、おじいちゃんおばあちゃん」
「あんまり娘たちを心配させるんじゃないぞ」
おじいちゃんの忠告に
あはは・・;、と苦笑するカウルであった。
家の中に入り後かだずけをするカウル
「ほらほら、自分の部屋で寝なさい」
「あと・・・5ふ・・ん」
「もう、サンタさんが来なくても知らないよ」
29歳でまだサンタを信じているカウルに、
いつもなら、エクのハリセンが飛ぶがあいにくこの世界には、本当にサンタが居るので誰も突っ込みません。
「それはいやだぁ〜・・」
「だったら、すぐに部屋で寝なさい」
「うん・・」
危なっかしい歩きで上に上ってゆく、ロサとナリィとエク
「あれ?キムは?」
きょろきょろと辺りを見回すと、台所でお皿を洗っているキムが居た
「キム?」
「な〜に?」
「お酒飲まなかったの?」
「飲んだよ」
「?」
じゃあ何で、と考え込んでしまうカウル
昨年は、ロサたちと一緒に上に上って寝ていたのに、今年になってケロリとしているキム
「慣れた」
「そっか」
納得したカウルだが、キムが洗っていたお皿を受け取る。
「だけどもうそろそろ寝ないとサンタがこないわよ」
「うん、分かった」
あやすみ、と上に上っていくキムに手を振るカウル
「さてと、今年もあいつは来るのかしら?」
虫も寝静まった夜
星だけが、地を照らしている。
カウルは寝ないで、部屋にある窓の外を見つめていた。
「今年は来ないのかなぁ」
其の時、外からシャン・シャン、と鈴の音が聞こえてきた。
「来たな!」
カウルは急いで、近くに合った双剣を取って外にでる。
玄関から外に出ると、目の前にはトナカイと真っ赤な服の優しい笑顔のおじいさんが。
「やはり今年も来たか!不法侵入者兼赤き戦士!!」
「お久しぶりダネ、カウルチャン」
カウルは殺気を散らしているが、一方の赤き戦士は相変わらず笑顔だ。
「甘いマスクを今日こそはひっぺがいしてやる!」
「そうデスカ・・・やっぱり戦わなければいけまセンカ」
双剣を構えるカウル
そして赤き戦士も、拳を構える。
――今ここに、カウルVS赤き戦士の戦いの火蓋が落とされた・・・
じりじりと横に円を書くようにずれる2人
其の時、近くの木で寝ていた鳥が尋常じゃない殺気を感じて、
飛び立った。
その音を合図に、2人の剣と拳が交わる。
カキン
ガチ
ドス!
両者一歩も引かない状態である。
「(やはり・・強い!)」
「カウルチャン、前の年より腕を上げましタネ」
「何のまだまだ!!」
だが、一瞬カウルがふらついた隙に赤き戦士は、カウルの懐に入り溝打ちをした。
やはり、さっきまでパーティーで騒いでいたので、体力が限界だったのだろう。
「さてと、相棒ヨ、プレゼントヲ」
「分かった」
相棒と呼ばれたトナカイが袋をあさって、色とりどりのプレゼントボックスを出す。
「これでいいのか、サンタ」
「Yes!それデス」
なんと!毎年カウルが攻撃していたのはサンタだったのだ。
「それにしても、サンタよ」
「何デスカ相棒、わしは忙しいから手短にお願いシマスヨ」
「忙しいって、ここで配達も終わりだろ」
「オヤ、ばれてイマシタカ」
「当たり前だ、あんたと何年コンビを組んでると思ってる」
「そうでしたネ〜」
ずっとおかしいと思っている人もいると思いますが、
このサンタは、トナカイと話しています。
もちろん人語ですよ。
こんな、サンタが実代する世界なんだから、トナカイだってしゃべれます。
なので皆さん変に思わないでください。
「それよりいいのか、その女は」
「大丈夫デ〜ス、わしが責任を持ってお部屋に寝かせときマスヨ」
「そうじゃなくて、誤解のほうだ」
「そっちデスカ、別にいいじゃないデスカ」
トナカイは、胃がきりきりと痛むのを我慢しながら、サンタにプレゼントを渡した。
「デワ、行ってまいりマス」
「見つかんなよ」
「OK!」
トナカイは、その場に腰を下し空に輝く満天の星空を見た。
ここマザーフットは、ほかの国と違い、夜になるとすべての電気が消えてしまうので、
星がよく見えるのだ。
「まったくあいつは、なんで自分がサンタだとあの女に名乗らないのだ、それに・・・(グチグチ」
「ただイマ〜」
「ギクッ)早かったな」
平常心を保つトナカイ、どうやら愚痴は聞こえてはいなかったようだ。
「家が恋しくなったので早く帰りマスヨ」
「あぁ・・」
サンタがそりに乗るのを確認したトナカイは、そりを走らせる。
シャン・シャン、と鈴が鳴り出した。
「さっきの質問ですガ」
「なんだ?」
「わしが、あの子に正体を明かさない理由ですヨ」
それか、とうなずくトナカイ
「で、何でだ?」
「あの子の成長をもっと見たいんデスヨ」
「・・・・物好きだな」
「フォフォフォ、わしの物好きは今に始まったことじゃナイデショウ」
「確かに」
――その夜、夜空には、サンタの笑い声と鈴の音が耐えなかったそうだ
次の朝
「エク、エクってば」
「あと・・・1時間・・・」
いつもの朝がやってきた。
もちろんプレゼントがある。
「もう、お母さんに言っちゃうよ」
「大丈夫だよ、母さん今日は、全身筋肉痛で寝込んでるし・・」
「はぁ、キムは耳ふさいで下に行きなさい」
「・・・!?」
エクは、すぐさま起きたがもう遅い・・・・
いつもの朝の始まりだ
「秘儀 死者の目覚めぇぇぇ!!」
ガンがんがん!!
「・・つっ頭が;」
「ほら、何時まで寝てるの」
「なんで、今日全身筋肉痛じゃないの」
「えへへ、サンタさんからいい物貰っちゃたv」
「いいもの?」
「うんw」
下に来れば分かる、と言ってカウルは出てきってしまった。
エクは、すぐに着替えて、下に行くと、
いつも自分と同じぐらいに起きているロサが起きていることにビックリし、
明日雨が降るか見知れない、と頭の片隅で考えながら、朝食をとろうと席についた。
そして、目の前のリビングの片隅に大きな椅子が・・
「・・・あれは?」
「お母さんがサンタさんから貰ったらしいよ」
近くに座っていたキムに質問すると、そう返ってきた。
「ふふふ、これで筋肉痛に悩まされなくてすむわw」
大きな椅子に座って、ゆっくりとくつろいでいるカウル
「お母さんのお悩み解消だね」
「よかったね、お母さん」
「(よくない気がする;;)」
みんなが喜んでいるなか、一人これから始まる悲劇を予想して、
サァ、と顔が蒼白しているエクがいましたとさ。
――今日も、カウル一家は平和でした。
えっ? カウルが何を貰ったか分からないって?
それは、マッサージチェアーですよ。
日ごろ大変なカウルさんにと、サンタさんからの心こもった贈り物でした。
――余談ですが
他のみんなが貰った物は、
ロサ・・・画集
ナリィ・・新しい人形
エク・・・飛び防具
キム・・・タロットカード
マナ・・・スコープ
アヤ・・・旅道具一式
と、いう感じでした。